富山の日常を旅するガイド

Edit/Text スピニー

歩いて10分 A CORNER SHOP

週末の楽しみは、クラフトビールを角打ちで一杯。

 これまで富山駅前でお酒を飲むことは、あまり多くなかった。家から遠いとか、電車(市電)で行くのが少し面倒だとか。そんな理由からだ。でもこの店を知ってからは張り切って市電に乗って、駅前で飲むことが多くなったように思う。
 
 『A CORNER SHOP』は、吉野綾さんが営むクラフトビールの店。この店を知ったのは、誰かが上げたInstagramの投稿からだった。富山ではあまり見ない、空気の良さそうな雰囲気に惹かれたけれど、オープンしてしばらくはスマホの画面越しに見ているだけだった。
 
 そんなある日、Instagramにアップされた友人の投稿が、出不精な私の背中を押した。
「めっちゃいい店!」と、おいしそうなビールを楽しそうに飲んでいる。ただスマホ越しに見ていた私はなんだか悔しくなって、別の友人を誘い、急いで店へ向かった。
 

 タップ付きの冷蔵庫とカウンター、缶ビールを冷やす大型冷蔵庫に長テーブルがふたつ。店はコンパクトなつくりながらも、天井が高くて開放的な空間だ。そして富山には珍しい立ち飲みスタイル。
 
 注文は、好きなビールを選んでカウンターでキャッシュオン。タップには常時3〜4種類の日本のクラフトビールがあり、大きな冷蔵庫には缶のクラフトビールが揃う。国内6割、海外4割というセレクトだそう。もちろん富山のクラフトビールも置いてある。

 ビールの選び方は、自分の直感を信じるのみ。カラフルでかわいくて個性的なラベルにうっとりしながら、ピンとくるものを見つける。目移りしてなかなか決められないときもあるけれど、その時間すら楽しい。

 綾さんはもともとアパレル業界で働き、東京や海外でのバイヤー経験を積んだのち、コロナを機に地元・富山へ戻ってきたという。楽しいことがしたい。お店をやりたい。ビールが好き。そして富山に“女性ひとりでふらっと飲める店”をつくりたい。そんな気持ちが重なって、えい!と店をつくったそうだ。かっこいい。そのバイタリティに、私は心底しびれた。
 
 店名は綾さんの“A”と角打ちの“角=corner”から。県外のブルワリー勤務の経験もあるだけに、ビールのセレクトにはどこか光るものがある。
 
 この店は誰かと行っても楽しいけれど、ひとりで行くのにちょうどいい店だと思う。ビールを選んで飲んで、綾さんや周りのお客さんたちと世間話をして次の店へ。帰り際はいつも綾さんが笑顔で見送ってくれるので、後ろ髪を引かれてしまうのだけどね…。

 おつまみはスナックのほかに、日によって綾さんの手作りキッシュや焼き菓子などがある。なかでも「サンドイッチ」は一推しのメニュー。自家製パンにジャムとハムが挟まっている、甘くてしょっぱい、不思議な味わい。しっかりした噛みごたえと、絶妙な味のバランスがクセになる。アメリカのバーで食べた味を再現しているそうで、とにかくビールが進むのだ。

 ときどき料理人を招いたPOP UPも開催していて、若い人から高齢の方までさまざまな年代の人たちが同じテーブルを囲む。みんながこの店を介して混ざり合い、共にクラフトビールを楽しむ。それはごく普通のことなのかもしれないけれど、私にとっては新鮮で、とても愛おしい時間に感じられている。

 0次会にもぴったりだし、帰り道に軽く一杯もいい。市外の人が富山駅前に泊まったなら、この一軒があると、きっとうれしくなると思う。ホテルに戻る前にちょっとだけ寄れる場所があるというだけで、旅の満足度はぐっと上がる気がする。

 土曜と日曜は14時から開いている。昼からビールは、背徳感よりも解放感のほうが大きい。週末になったら、ぜひA CORNERを目指して歩いてみてほしい。(I)

A CORNER SHOP


富山市神通本町1-5-18 Banque-et 1F 2号室

営 金17:30~21:30、土・日曜14:00~20:00

休 月曜~木曜

P なし
現金またはPayPay
Instagram @a_cornershop

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